ミトラの法要

四日の朝早く、奈良の信貴山へ向けて出発した。お目当ては朝護孫子寺で、寅年初寅の日寅の刻(午前四時)に行われる、初寅大法要。三つの寅が重なる時に、物部守屋との戦いへ赴く聖徳太子の前に毘沙門天が降臨したのを記念して行われるようだ。三寅とはミトラと読み、ゾロアスター教の神の一人であるミトラ神のことを示していて、実際に三寅の時刻にミトラ神(毘沙門天)が現れたわけではなさそうだ。聖徳太子はかなりの国際的な人物だったらしく、原始キリスト教・道教・仏教に通じていて、仏教の弥勒菩薩はミトラ神からきているらしい。

で、三寅のときに参詣すると三寅の福が授けられるということなのだが、本来は旧暦でなければ意味がないのではないか？という疑念を持っていたので、始まる前に尼僧さんに聞いてみた。
「初寅と言っても旧暦じゃないと意味がないのじゃないですか？」
「新暦でも長いこと使ってるうちに意味が出てくるの。姓名判断で名前を変えても新しい名前を使っているうちに新しい名前の運勢になってくるんだけどそれと同じ」
聞いていると、こういう寺社に勤めている人は占いをやる人も多いとのこと。そういえば人生相談と書かれた看板も寺内にあったので占いの知識も必要なのだろう。

肝心の法要は一時間あまり。意味のわからない読経をひたすら座して聞くだけでしたが、いまこのときにこの場所にいることに意味があるんだと自分に言い聞かせてじっと聞いてました。

新年は三寅の良い縁起に恵まれる年になりますように。

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